2010.08.29.
4月に亡くなられた多田富雄先生の本がまだ出るとは思っていなかったので、ちょっとビックリしたが、6月に「残夢整理」というのが出ていた。新潮に連載されていたものを一冊にまとめたとか。なるほどね。サプレッサーT細胞を発見した世界的な免疫学の権威でありながら能にも造詣が深く、文筆でもいろいろな賞を受賞している凄い人。2001年に脳梗塞で倒れ、声を失い右半身不随という状況でもワープロを駆使して文章を書き続けていた。前立腺癌も患っていたが、最期まで活動を続けたことには頭が下がる。本当に惜しい人を亡くした。

自分は「ダウンタウンに時は流れて」が出版されたときに、音楽繋がりで知ったので、まだ遡って他の本も読んでいるところ。
「寡黙なる巨人」は小林秀雄賞受賞作。そういったところからも、興味があったのだが、如何せん老人の昔話的な内容が多く含まれているので、戦後史を勉強している傍らで読んでいると思わないと続かない。しかしもの凄い記憶力に驚かされる。
もう一人、小路幸也という作家さんも最近知って読みまくっている。家族関係に拘りがあるようで、そういったテーマが背景にある小説を書いている。「東京バンドワゴン」のシリーズがヒットしているが、他のものも同様のテイスト。個人的には家族関係がどうのというのは苦手な部類だが、結構オススメ。 
そのほかはこんなところ。「ゴルゴ13」のさいとうたかをの「俺の後ろに立つな」は、どんな人か知らないからネエ。私、結構動きが大きくてぶつかるといけないから、よく「俺の後ろに立たないで」とは言ってましたけどネエ…。ゴルゴって結構面白いんだよね…。

「路地の匂い 町の音」は「谷中・根津・千駄木」の編集者だった森まゆみさんの新刊。視線が低くてよろしいかと…。まあ下町探偵団と似た感覚をお持ちの方かということで。

「白鍵と黒鍵の間に」はジャズ・ピアニスト南博の若き日々の回想録。苦労話が面白いの何の…。音楽の世界は奥深い。

東郷和彦の「戦後日本が失ったもの」は、想定外の面白さ。駐オランダ大使まで務めた人だけに、豊富な知識と人間関係を紹介するだけでも面白いであろうが、さらに非常に高い見識をお持ちのようで、現代の憂国の士とも言える。日本の若者はみな読むべしといった印象。

小林信彦は、相変わらず下町のおじさん的視点の昔語り。それなりに面白い。

「きな子」は映画化された警察犬のお話。非常に評判がいいので、とりあえず…。

まあ、そんなわけで、今月も30冊オーバー、40冊の届きそうな読書量を維持している。ガルシア=マルケスはちょいとあかんかった。そのほかも当たり外れの多い月であった。
2010.08.23.
ちょいと夏休みである。避暑のつもりで八ヶ岳方面に行ったものの、暑い、暑い。安曇野でも37度越えといった状況で、かえって気温は東京より高い有り様。まとも動き回ることができず、結果的にクルマで走り回ることになってしまった。

お宿は最近しょっちゅう行っている蓼科東急リゾート。2人して大のお気に入りのお宿。だけど昨年行った安曇野が忘れられず、まずは1,000円の中央高速で豊科まで行って、お昼は昨年も行った花梨桃源郷蔵久でそば御膳。その後はおやきを買って、わさび園をのぞいて…といったところで早速にギブアップ。そばを買い込んでそそくさと蓼科へ。あとは当然ながら、温泉でのんびり。

翌朝もピーカン。猛暑を予感させる状態。早めに出発して、国道299号=メルヘン街道を北上。小海町経由で清里のK*MOPA(清里フォトアートミュージアム)へ。「日本の自画像 − 写真が描く戦後1945-1964」という特別展をやっていたのである。大好きな空間で最近ハマっているテーマの展示をやっているのだから、無理をしてでも行く。ここ、とにかく行き着くのが難しいところなのである。看板をたよりに、とうもろこし畑の中や林道の中をグルグルと走り、ようやく到着する。でも素晴らしい施設。オススメ。その後は灼熱の東京にまっすぐ帰ってきたが、首都高は事故渋滞で高井戸で20号へ。結局夕方になってしまった。でも、気分転換にはなったようだ。
花梨桃源郷の室内。「犬神家の一族」撮影に使われた文化財指定のお屋敷。冷房はないが、意外なほど快適な風が通っていた。 庭も素晴らしい。 そば御膳。自家製お手作り豆腐も美味。
蔵久から出てきたところで、茂みの中に動物が…。 大王わさび園のわきを流れる川べりでハグロトンボがいっぱい飛んでいた。 ここの景色もなかなか素晴らしい。しかし灼熱地獄と化していた 
安曇野を走り回っているころは37度前後。 昨年と山の見え方が違うほど…。 歩き回れないので、さっさと蓼科へ移動。蓼科東急リゾートは長期滞在しないともったいないかもね。今回は3階の部屋。窓辺の造りが異なっていた。
食事は文句なし。前菜のパプリカのムース。超美味。 魚はすずきのポワレ。ガスパッチョ・スタイルのソースがこれまた美味。 肉は仔羊のフィレ。
デザートはあっさり・さっぱり系。とにかく暑すぎて、ワインを飲む気にならず、珍しく生ビールなんぞを注文してしまった。  翌朝もピーカン。蓼科の空気ではない。  メルヘン街道を北上。素晴らしい道である。窓全開で気持ちよかったのなんの。
さすがに2千メートル越えの標高だけに涼しい。 それでも20度をちょいと下回る程度。 東京は相変わらずの灼熱地獄。
先々週の日経プラス1のランキングで2位に入っていた麺匠の安曇野道祖神そばをゲット。ほかにもそば買いまくり…。  うしこしのおやき。我が家の旅行にはクーラーバッグが欠かせない。 一旦帰宅後、洗車にいってきた。別のクルマのようになっていたからねぇ。
2010.08.17.
先週の日経新聞で久しぶりにカストロの顔写真をみたら、やはりガルシア=マルケスを読まなくてはという気分になってしまった。あまり金をかけたくなかったのだが、「百年の孤独」は文庫化されていない。いろいろ思い悩んでいたが、昨日仕事が早く終わったのでOAZO の丸善にいったとき、ついつい買ってしまった。「エレンディラ」の方は文庫。こちらは短編集。ガルシア=マルケスは夏休みの読書に向いているように思うのは私だけだろうか?一応ノーベル賞作家。コロンビア人だが、カストロと親交があることでも有名…。最近「絆と権力」という2人の関係の研究書が刊行されたが、どうもそそられない。何度か丸善で手にとってみたものの、読めそうにない気がしてしまった。翻訳があかんのよ、どうも…。
村上春樹の翻訳だったらいいのにと思うことは多い。彼の本は随分読んでいるが、翻訳ものはまださほど手を出していない。カーヴァーやフィッツジェラルドあたりから、読んでみるかね。「走ることについて語るときに僕の語ること」は、そのうち読もうと思っていたら、文庫本が出ていたので買ってきた。嬉しい。それにしてもこのタイトル…、レイモンド・カーヴァーの「愛についで語るとき我々の語ること」からきているんだろうけど、そうやってさりげなくリスペクトを表現していたりするから、この人の場合は気が抜けないんだよな。

小林信彦も随分読んでいる。もうかなりご高齢だからいつまで彼の文章を楽しめるかあやしいところだが、頑張って書いてもらいたいものだ。下町の人間の目線で書かれたこの人の文章は好きだ。もっと、もっと評価されてもいい人のように思う。 
2010.08.14.
昨日は13日の金曜日の仏滅。だからどうということはないが、やたらと窓口がこんでいて、まあこういうことか…。夜は竹橋まで出て、高校の同級生のM大先生と食事。コンサートのチケットの受け渡しがメイン。彼からはTokyo Jazz 2010のチケットがきて、こちらからはBad Companyのチケットを渡した。無事に行ければいいんだけどネエ…。

職場の人間以外と話す機会が少ないので、やはりこういうのは面白い。
2010.08.06.
英会話の勉強会が中止になった。人が集まらなかったというだけ。それでも50回近くやってきて初めての中止。まあ、いい方だろう。時間ができたので、即座にOAZOに行くことにした。ビジネス書や堅いものを読む気分ではなかったので、やわらかいものを2冊ほど買ってきて、早速に気分転換が図れた。「警察犬訓練所を優秀な成績で卒業…しそこなったチェットと私立探偵バーニーのハードな日々、犬の目、犬の心で語られる事件のすべて −このコンビ、ミステリ史に残ります!」」という帯の文句に引かれて買ったのが「僕の名はチェット」スペンサー・クイン著、古草秀子訳。もう一冊は、ロバート・A・ハインラインの古典的SFの名作「夏への扉」の新訳版。こちらは「アルジャーノンに花束を」と同じ小尾芙佐さんという方の訳。まあ、犬ものと猫もの。こういったものが読めるほど快復してきたというべきか。システム課の6年でかなり病んだか、なかなか気分的に戻らなかったのだが、ようやくこういったものが読みたい気分になってきた。テレビが観られるほどまでにはなっていないが、少しずつ人間性を取り戻しているとも言えるか…。
2010.08.01.
  先月は40冊ペースかと思ったが、終盤猛暑のせいもあって思い切りペースが落ちた。結局は1日1冊ペースがいいところ。何だか昔、夏休みの宿題で読みたくもない本を読んで書いた読書感想文のことを思い出している。無理やりじゃあ絶対に身にならない。学校ももう少し工夫すればよかったのにと、今更に思う。よく速読術でも身に着けているのかと訊かれるが、ビジネス書などはたしかに斜め読みしている。「レバレッジ・リーディング」を読んでからは、特にスピードが上がった。しかし、数をこなすことには大して意味はない。一定以上の数を読む習慣は必要だろうが、どれだけ読んでも、得るものがなければ何の意味もない。

さてiPadに興味はあるが、あの指紋ベタベタになっている画面がどうにも気に入らない。実は機器よりも、電子書籍が社会全体に与えるインパクトのほうに興味がある。ケータイで日本語のあり方が大きく変わったが、それと同等の変化をもたらすのか?キンドルもうんと安い第3世代を出してきたし、しばらくは要観察状態。 
また買いそびれていたCDジャーナル・ムックの2冊を、Amazonのマーケット・プレイスで入手した。「ヴァン・ゲルダー決定盤101」の方は、本当に入手困難だったので、ちょいと嬉しい。ついでに、季刊の「analog」なんぞ買ってきて読んでいる。ウチのオーディオ機器、金もかけてないし、手もかけてないが、結構いい音で鳴ってくれる。感謝、感謝。

最近は硬いものを多く読んでいたが、夏休みシーズンは脳みそもとろけているので、そうもいかない。涼しい部屋で、音楽を聴きながら、この手のものを読むことの悦楽…、こうでもして頑張って夏を乗り切るしかない。まあ、さほど時間が割けるワケではないのだが、こうしている限りはココロの病にはならないでいられそうだ。…もうなっているかな?
  相変わらず、特定の人に拘りを持って読むというスタンスは崩していない。一度気になる人がいれば、徹底的に調べてみて、出版されているものがあれば読みまくる…。

そろそろ、また京都に行きたいなあということもあり、麻生圭子さんの文庫を一冊買ってきた。万城目さんもエッセイが文庫になっていたので、お買い上げ。村上春樹研究も相変わらずやっている。市川真人の「芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか」は期待以上、非常に面白い。当然ながら、他の2冊も面白い。 
     
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